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〝 妊娠前・妊娠中の緊張について 〟

 

文責 歯科医師 矢島 由紀

ここで言う緊張は、人前で緊張してあがってしまう・・・という緊張とはちょっと違った意味で、体のこりやつっぱりのことを指しています。肩こりをイメージしていただくとわかりやすいと思います。肩がこっていて首が動かしづらい、ひどいときには寝違えて片方しか向けないというような経験をしたことがあると思います。そういった体の動かしづらさにつながる「緊張」を減らしていくことが妊娠期から子どもの成長期にとても大切なのです。体の力を上手に抜くことができると、上がっていた肩が降り、内側に丸まっていた肩が開くと同時に胸も開き、呼吸が深くなります。体に不必要な力が入ったままだと、姿勢が悪くなり、臓器の働きも落ち、血流も悪くなり、体が冷え、手足の動きは小さくなります。動かしづらさに左右差があると頭や肩、背骨、骨盤などの左右の傾きや動かし方の左右差なども出てきます。これらが積み重なると、細かい手先の動きにも影響が出てきます。例えば、上手にお箸が持てなかったり、えんぴつの持ち方や動かし方に影響してきたり・・・意識して自分の体の使い方を変えていくようにしつつ、無意識の部分で自分では変えづらい体の使い方まで整えていく方法を学んでいきましょう。まずは、肩の力を抜いて姿勢を正すことができるようにほぐし、姿勢を保持できる筋力を保つために適度に体を動かしましょう。

妊娠してお腹が大きくなって体型や重心が変わることで、腰痛などが起きやすくなります。妊娠前から姿勢を正して、体の使い方を意識しておくことをお勧めします。スマホ首という言葉もあるように、スマホを見る下向き姿勢で猫背、ストレートネックになり、骨盤がずれるということが起こりがちです。そのような姿勢は、赤ちゃんが宿る子宮の位置の変化やお腹の張りにも影響してくるのです。浅い呼吸ではなく深い呼吸ができることは自分の体調が良くなるばかりか、子宮の位置や赤ちゃんの居心地の良さ、ひいては赤ちゃんの緊張を減らすことにも繋がります。妊娠前まで運動不足だった人が、突然妊娠したからとウォーキングなどを始めたら、あまりの運動不足のために切迫早産などが起こってしまい、逆に絶対安静になってしまった・・・なんてことにならないように、妊娠前から体づくりしておいた方がいいです。普段から体づくりをしておかないと、妊娠してから急に体づくりをしようと思っても体づくりするための体ができていない・・・という人もいるのです。赤ちゃん優先で体調管理が必要ですから、医師から妊娠中の行動について制限された人はそれに従ってください。妊婦さんにとって母子ともに過ごしやすい体づくりは、生理痛が軽減したり、内臓下垂の改善により太りにくくなったりと妊婦さんだけでなく誰もが過ごしやすい体です。今後、妊娠するかどうかわからなくても、ぜひ取り組んでおいて欲しいなと思います。

 

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