ママのお腹の中から始める赤ちゃんのお口育て
~赤ちゃんの歯並びについて~
文責 岩前 里子
生まれてくる赤ちゃんはやがて成長し、歯が生えてきます。今はまだ成長したその先の歯並びは想像がつかないことと思います。しかし歯の準備は思っているよりも早くからはじまっていますから、歯並びの良い子に育てていくのならばその準備は早くから始めなくてはなりません。
ヒトの赤ちゃんは歯のない状態で生まれて、成長に伴って歯が生えてきます。歯は歯茎の下、顎の骨の中で非常に早い時期(胎生6週)からでき始めます。その形や大きさは遺伝的要因が強いようです。遺伝子情報は身体の設計図のようなものですが、遺伝子情報が発現したりしなかったりする遺伝子のスイッチがあると言われています(エピジェネティクス)。発生の時期に母体の砂糖過多や高タンパクの食生活によってサイズが大きくなるという諸説もあります。また形が変形することもあるようですが、少なくとも口の中に出てきてからはサイズが大きくなることはありません。しかし顎や顔、頭などはその後も成長し大きくなっていきます。それは例えると、お弁当の中身があらかじめ決まっているけれどお弁当箱の大きさが決まっていないようなものでしょうか。中身のボリュームに見合った十分な容量のお弁当箱が用意できなかった場合を想像してみてください。きれいに収めることができず、箱から溢れだし蓋が閉まらない(口が閉じられない、歯並びが悪くなる)、またはおかずが押されて変形(穴が空く、う蝕)ということになります。上手く詰め込めるように斜めになることもあるでしょう。お弁当箱は斜めにしていたら、全体が偏ります。歯も同じでお弁当箱にあたる身体が斜めに傾いていると歯列はそのように傾いた形になってきます。歯は成長に合わせて上手く生える場所や向き、高さを変えて適応しているのです。
歯並びの良い子に育てる、お弁当の中身がきれいに並ぶためには、十分な容量のある器、つまりしっかりと発育した口の中、身体が必要です。口の中の容量は歯と舌が収まる量ということになりますが、身体がその量を用意してくれるためには頭が脊椎の上にしっかりと載っている、姿勢が正しいことが必要です。いつも背中が丸く、口をぽかんと開いていてはきれいな歯並びは望めません。お弁当の蓋がきちんとしまっていなければ、お弁当の中身はぱさぱさに乾き、中身はでてしまいます。
早い時期、ママのお腹の中にいるときから始まる赤ちゃんのお口を育てることが大切になります。